当所員の報文が「TOMBO(トンボ)」に掲載されました。
当所員の報文がトンボ学会の会誌「TOMBO(トンボ)」に掲載されました。
小笠原諸島固有種で、種の保存法の国内希少野生動植物に指定されているハナダカトンボの成虫が、陸生プラナリアによって捕食された事例を報告しています。
ハナダカトンボは敏感で、警戒するとすぐに逃げ去るトンボです。動きの遅いプラナリアがいったいどのように捕食したのでしょうか。
観察を行うと、ハナダカトンボは、胸部に陸生プラナリアが巻き付き、脚、腹端部、後翅先端部が粘液により石面に接着された状態で死亡していました。腹部を曲げて直立するという不自然な格好で死亡していたことから、生時に襲われ、捕食されたものと考えました。忍び寄るプラナリアに警戒心を抱かなかったのかもしれません。
これまで、淡水生プラナリアによる水際での羽化中のトンボの捕食事例は報告されていましたが、陸生プラナリアによるトンボ類の成虫の捕食は世界的にも例がなく、初の報告例となりました。
●Predation by terrestrial flatworm Platydemus sp. (Tricladida: Continenticola: Geoplanidae: Rhynchodeminae) on an adult of Rhinocypha ogasawarensis (Odonata: Zygoptera: Chlorocyphidae)
●Kyohei SHOJI1)* and Haruki KARUBE2)
1) Ogasawara Environmental Planning Laboratory, Ogasawara, Tokyo, Japan.
2) Kanagawa Prefectural Museum of Natural History, Odawara, Kanagawa, Japan.
●TOMBO, 66 : 60-62. 2023.
【邦題】
●陸生プラナリアによるハナダカトンボ成虫の捕食事例
●庄子恭平・苅部治紀